饅頭は小麦粉を捏ねて蒸篭(せいろ)で蒸かす、蒸菓子の中の王者です。語源は中国の饅頭(マントウ)で、わが国には鎌倉時代に宋より伝来し、漢音の「頭トウ」を宋音に従って「頭ジュウ」と呼び習わして来ました。当初は小麦粉のみの蒸饅頭に香辛料を加えた垂味噌(たれみそ)の汁を付けて食べるほか、野菜や小豆餡を皮で包む場合も、塩味餡が一般的なものでした。
室町時代の『七十一番職人歌合』には、饅頭売りが多く登場しますが、その中に「砂糖饅頭、菜饅頭、いずれもよくむして候」と記され、砂糖饅頭も既にあったことを示しています。なお、中国ではマントウは餡なしの皮だけものもを云い、餡を包んだものはパオツ(包子)と云います。